好きな言葉は何?
私が学生の時に通っていた英会話スクールで聞かれた質問です。
思い浮かばなくて困っていた時に、
「じゃあよく使う言葉は?人に言われて嬉しい言葉でもいいよ」
と言われて、あぁ、それなら!と思って答えたのが “うれしい”という言葉でした。
「その言葉、めちゃくちゃいいね!!すごくいい!一生大事にした方がいいよ!」
それ以来、私にとって、「うれしい」という言葉はとても大事な言葉になりました。
その先生が、めちゃくちゃイケメンだったから、ということも大きい気がするし(笑)、
LGBTであることをカミングアウトしていたから、ということも大きかったと思います。
今から20年近く前のことなので、まだまだカミングアウトする人もそれを偏見なく受け入れる人も、
残念ながら少なかった時代でした。
そのスクールで知り合った親友が、その先生に片思いしていました。
健気に頑張ってアプローチしている彼女がとても可愛くて、私も陰ながら応援していました。
そんなある日彼女から、彼からカミングアウトされたと聞いたのです。
あまりに彼女が一生懸命好意を見せてくれるから、自分もちゃんと誠実に向き合いたい、
と、打ち明けてくれたそうです。
それを知ったとしても、すぐに気持ちは切り替えられるものではないし、
せめて友達として好きでいたいし好かれたい、と彼女も前向きにとらえようとしていました。
よく何人かでご飯にも行っていたし、遊んだりもしていたし、私も何度かその輪に入れてもらったり。
大学を卒業して社会人になって、彼もそのスクールを辞めてしまい、
今はどうしているのか全く知らないですが、
ときどき彼女とも彼の話をしたりして懐かしむことがあります。
“好き”ということも、
“誰かを好きになる”ということも、
“大切な存在”であることも、
様々なかたちがあるし、様々な在り方があっていいし、様々な受け入れ方があります。
たとえそれが自分の望まないかたちであったとしても、それをどう捉えて、受け入れるかで
その先の存在が変わっていくのだと思います。
どんな存在であっても、人との繋がり、大切な思い出、楽しかった出来事は、
あなたや私の心の中にずっと生き続けることができます。
大事にしたいことは、シンプルに大事にしてあげたい。
“うれしい”という言葉を口にする度に、そんなことを思います。